食料生産の新しい選択肢として
気候変動や資源枯渇への懸念が高まる中、農薬・化学肥料に頼らない有機農業への注目が世界的に集まっています。EUでは2030年までに農地の25%を有機農業に転換する目標を掲げ、各国で有機農産物の需要と生産量が拡大しています。しかし日本の有機農業は、全農地面積のわずか0.6%にとどまっています。
その要因のひとつが、有機肥料の調達問題です。有機農業に欠かせない堆肥や糞尿などの有機物は、畜産農家など限られた場所に点在しており、安定的に集めること自体が容易ではありません。さらに、その有機物の生産過程で化学肥料が使われているケースも多く、有機農業の上流をたどると化学肥料に依存しているという構造的な矛盾も抱えています。
加えて、日本特有の高温多湿な気候も大きな壁です。温暖で雨の多い環境は雑草や病害虫が繁殖しやすく、農薬を使わずに安定した生産量を確保することが極めて難しい。近年の記録的な猛暑や突発的な豪雨など、気候変動による影響が露地栽培の環境をさらに過酷にしています。
有機農業の重要性はわかっていても、現実には多くの障害があります。では、別の選択肢はないのか。その問いから、日本の環境に適した形で環境負荷を抑えた栽培を実現するために、Leaflandの有機水耕栽培の研究は始まりました。
新たな都市農業としての有機水耕栽培
Leaflandが辿り着いた答えが、土も化学肥料も使わない有機水耕栽培です。約10年に渡る研究と実践から生まれた独自技術で、マイクロハーブを育てています。
土を使わず、化学肥料も使わず、水も捨てない。この栽培を支えているのが、微生物発酵の力です。Leaflandでは有機物を農園内で発酵・分解し、ハーブが必要とする分だけ肥料をつくり、そのまま吸収させます。生きた微生物が日々つくり出す新鮮な肥料を届けることで、品種本来の風味を引き出しています。
使用した養液は廃棄せず、システム内で循環させ続けます。水資源を無駄にしないだけでなく、肥料成分が外部に流出して周辺環境を汚染することも防ぎます。投入した資源をすべてハーブの成長へと変換する、無駄のない生産の仕組みです。
この農法は土を必要とせず、人工光を使えば太陽光がなくても野菜を育てられます。広大な農地がなくとも成立するこの仕組みは、消費地に近い都市こそが最適な舞台だとLeaflandは考えています。生産者と消費者の距離を縮め、新鮮な状態で届ける。有機水耕栽培は、次世代の都市農業としての可能性を秘めています。
Leaflandの有機水耕栽培

しかし、Leaflandが目指しているのは単に野菜を育てることではありません。料理する人に寄り添い、食べる人に喜びを届けるマイクロハーブです。そのために、農園内では魚の飼育による有機物の生産・微生物発酵による肥料生成・ハーブの栽培、そのすべてを完結させています。
この仕組みが成立するには、肥料の生成量とハーブの栄養吸収のバランスが保たれていることが不可欠です。肥料が過剰になれば魚の生育に支障をきたし、ハーブの味も損なわれます。逆に不足すれば、ハーブの成長が滞るだけでなく、味や香りの乏しい品質の低いものになってしまいます。肥料を生み出す微生物の量もまた、このバランスに深く関わっています。求める品質へと近づけるには、魚・微生物・ハーブという異なる生き物それぞれを丁寧に観察し、緻密な管理を続けることが必要になります。
これまで研究を続けてきた結果、私たちの野菜は身近な料理人からも評価をいただける水準に至りました。これをきっかけに、Leaflandはマイクロハーブを生産販売するための農園をスタートするにことにしました。
それでもこの技術は、まだ発展途上です。
さらなる品質向上を目指し、私たちは日々さまざまな検証を重ねながら、マイクロハーブの生産に取り組んでいます。
